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特集記事

YOUTUBEチャンネルでマルウェアに感染!?

拡散元は動画説明欄に記載されていたリンク

今回のマルウェアの拡散は、YOUTUBEの動画説明欄に記載されているリンクが原因でした。
このリンクはTorブラウザに関するものでしたが、公式サイトが配布しているインストーラーではなく、悪意あるTorブラウザのインストーラーのリンクでした。
ここからダウンロードしてしまうと、正規のものよりセキュリティレベルの低い設定のTorブラウザがインストールされ、閲覧履歴やウェブサイトで入力したデータなどがすべて収集されてしまうというものでした。

実際の生活を脅かす情報が狙われていた

今回のYOUTUBEで投稿されている動画説明欄にリンクのあったTorブラウザは、セキュリティレベルが低く設定されているだけではなく、組み込まれたプログラムの一つがスパイウェアに感染していました。
このスパイウェアが情報の収集や拡散元のサーバーへの情報送信を行っており、さらには外部からPCを制御される可能性も考えられます。

拡散されたマルウェアは、多くの情報搾取型のマルウェアとは違い、パスワードや金銭に関連する情報ではなく、利用者のWi-Fi関連の情報やウェブの閲覧履歴、SNSのアカウント情報など、個人を特定するための情報を収集・転送していました。
これらの情報が悪用されると、自宅への直接的な訪問や実際の生活での脅迫などの可能性も考えられ、ネット上だけではなく、身の回りにも気を付けなければなりません。
ネット上での攻撃が、画面を超えてあなたに襲い掛かるかもしれません。

そもそも【Toe(トーア)ブラウザ】とは?

匿名性を確保しながら閲覧できる

Torブラウザとは、safariやGooglechromeと同じブラウザの一種です。
他のブラウザとは違い、接続元の匿名性を確保しながらWebサイトを閲覧できるのが特徴です。
TorブラウザでWebサイトを閲覧しようとすると、サイトへたどり着くまでに複数の専用サーバーを通ります。その際、通過した各サーバーには、直前に通ったサーバーのIPアドレスが記録されるようになっています。
そのため、閲覧したWebサイトには接続元のIPアドレスではなく、直前に通過したサーバーのIPアドレスが伝えられるため、接続元がどこであるかはわかりません。

複数のサーバーを通るため、他のブラウザより通信速度が遅くなり、またその匿名性から、ダークウェブを閲覧する際に利用されることもあります。

Torブラウザに違法性はない

その匿名性や、ダークウェブの閲覧に利用されることなどから、Torブラウザ事態に違法性があるかのように考える方もいるかもしれませんが、違法性はありません。
もともとは、アメリカ海軍で通信を秘匿するために開発されたブラウザです。

このような匿名性を確保できるブラウザが利用されている理由の一つに、国によってはインターネット上の検閲が厳しく、匿名性がなければ情報を探すこともできないということもあります。
Torブラウザは、利用者の身の安全を確保しつつ、さまざまな情報を得るために必要なソフトウェアの一つなのです。

最後に

Torブラウザは、本来は利用者の情報を守るソフトウェアですが、その匿名性が悪意ある行為に利用され、ブラウザ自体に問題があるように見られてしまうこともあります。

Torブラウザを利用することに問題はありませんが、利用することによるデメリットについてきちんと理解してから使いましょう。
また、トラブルに巻き込まれないためにも、ソフトウェアのダウンロードは公式サイトから必ず行い、第三者の配布しているものは、安全性が確認できないのであれば利用しないようにしましょう。