消せない情報、デジタルタトゥー
ブログでやり取りをしていた人から、ある日突然付き合ってほしいとのメッセージをもらったAさん。
相手とはネット上以外の繋がりもないため、お断りをしました。
断られた相手は、その後脅迫めいたメッセージをAさんに大量に送りつけ、中には「お前の家まで行く」とAさんの自宅住所を書いたものもありました。
相手はAさんのブログから削除された自宅写真や、よく利用している店舗情報などを保存しており、Aさんの住所を特定できたようです。
怖くなったAさんは、それまで利用していたブログを閉鎖し、引っ越しをすることにしました。
今回のAさんの事例のように、自分で公開した顔写真や投稿記事は、公開したサイトやブログから消しても、ネット上や誰かのパソコンに残り続けていることがあり、消したくても消せない、デジタルタトゥーとなります。
そこから犯罪に巻き込まれてしまう可能性もあるのです。
デジタルタトゥーという言葉には、一度入れると後から消すことが困難なタトゥー(入れ墨)のように、インターネット上で公開された書き込みや個人情報などは、一度拡散してしまうと、後から消すことが極めて困難である、という意味があります。
一度インターネット上に公開された情報は、誰もが自由に保存・コピーをすることができます。
そして保存された情報は、公開した本人の知らないところでも、ネット上で急速に流布・拡散される可能性があります。
たとえ自身で投稿した情報を消したとしても、誰かが情報を保存している場合があります。
インターネット利用者は、全世界に29億人以上存在するといわれています。
公開した情報が一体何台のパソコンに保存されているのか、保存された情報はどこにあるのか、すべてを把握することは事実上不可能です。
そのため、一度ネット上に投稿した情報を完全に消し去ることはできないのです。
公開した情報すべてが悪用されるわけではありませんが、時には本人の全く知らないところで犯罪に巻き込まれてしまう場合があります。
不健全なサイトや詐欺サイト等で顔写真やプロフィールを利用されてしまう可能性があります。
例えば家族全員で出かけているという情報を公開してしまうと、空き巣の被害や、ストーカーに自宅で待ち伏せされる可能性があります。
顔写真や氏名、自宅住所、電話番号やメールアドレス以外にも、学校名や出席番号も個人を特定できる情報になりえます。
関連FAQ:住所や電話番号さえ投稿しなければ大丈夫?
住所を記載していない場合でも、自宅で撮った写真などに位置情報が記載されていれば、自宅住所を公開していることになります。
関連FAQ:何で私のいる場所がわかったの!?
他人に写真を送る行為は、ネット上に公開することと同じであると考えましょう。
公開されたくないような写真であっても、他人の手に渡ってしまうと、自分ではどうすることもできません。
関連FAQ:写真をばらまくと脅されたけど…
インターネットは海のように広く、世界中の誰もが自由に書き込み、見ることができる場所です。
たくさんの情報があり、たくさんの人とつながることができます。
自分の欲しかった情報や、知らなかった世界を知ることのできる、広く自由な場所です。
広く自由な場所だからこそ、「公開したものはネットを使う誰もが見る、保存できる、コピーできる、勝手に使用される」ということを決して忘れてはいけません。
写真や情報を公開する前に、「この情報を公開しても問題はないか」と一度たちどまって考えるようにしましょう。