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意外と知らないコンピュータウイルスのはじめて講座 vol.1

きちんと説明できる? コンピュータウイルスとは…

パソコンなどのコンピュータを使っている人なら誰でも知っている「コンピュータウイルス」という言葉。

感染すると大変というイメージはみなさんお持ちかと思いますが、そもそもコンピュータウイルスとは何なのか、ご存知でしょうか?

経済産業省の告示「コンピュータウイルス対策基準」では、以下のように定義されています。

第三者のプログラムやデータべースに対して意図的に何らかの被害を及ぼすように作られたプログラムであり、 次の機能を一つ以上有するもの。

  1. (1)自己伝染機能
    自らの機能によって他のプログラムに自らをコピーし又はシステム機能を利用して自らを他のシステムにコピーすることにより、 他のシステムに伝染する機能
  2. (2)潜伏機能
    発病するための特定時刻、一定時間、処理回数等の条件を記憶させて、発病するまで症状を出さない機能
  3. (3)発病機能
    プログラム、データ等のファイルの破壊を行ったり、設計者の意図しない動作をする等の機能

※出典:経済産業省コンピュータウイルス対策基準
http://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/CvirusCMG.htm

「感染・潜伏・発症のサイクルを持つコンピュータプログラム」というのが、コンピュータウイルスの定義です。これは生物界と同様で、人間に置き換えるなら、人体に侵入し、潜伏し、のどの痛みや発熱などを引き起こす「風邪」の原因となる細菌を指します。

コンピュータウイルスの起源と歴史

コンピュータウイルス(以下ウイルス)の起源については諸説ありますが、1982年にアメリカ・ピッツバーグの高校生によって作製された「Elk Cloner(エルク・クローナ)」が世界で最初のウイルスと言われており、これはApple II(米・アップル社製のマイクロコンピュータ)にのみ感染するものでした。

1986年には、パキスタンのプログラマーが、不正コピー防止を訴えるために「Brain(ブレイン)」を作製、これがIBM PC(米・IBM社製のパーソナルコンピュータ)に感染する初のウイルスといわれています。

1980年代初期のウイルスは、感染すると言っても、フロッピーディスクなどを媒介として別のコンピュータへ感染し時折メッセージを表示して利用者を驚かせる程度の無害なものばかりでした。

ウイルスが現実的な被害をもたらすようになるのは、インターネットが一般に普及する1990年代以降となります。

インターネット普及とウイルス被害拡大の歴史

1988年 アメリカの大学院生が、感染するとコンピュータに負荷を与える「Morris Worm(モリスワーム)」を作製。インターネットを経由し、国防総省機能麻痺、全米の大学や研究所のコンピュータ6,000台以上が被害を受けた。
1991年 オランダ発の「Michelangelo(ミケランジェロ)」は感染したコンピュータのデータを破壊。世界中で被害が発生し、コンピュータウイルスは現実的な脅威として認識され、マスコミ等でも報道されるようになった。
1999年 電子メールの添付ファイルによって感染する初のウイルス「Melissa(メリッサ)」がイタリアで発見され、メールサーバがパンクする現象が続出。
2001年 サーバ上のセキュリティホールを使用する中国製の「Code Red(コードレッド)」による被害が発生。
2001年 ウェブサイトを閲覧するだけで感染する「Nimda(ニムダ)」が作製され、ウイルスの被害が爆発的に広がるようになった。

コンピュータウイルスの種類と特徴

ウイルスは、様々な種類がありますが、ここでは代表的なウイルスの種類とその特徴をご紹介します。

ワーム

ワーム(worm)は、英語でミミズやサナダムシなど細長い虫の俗称で、インターネットの中を虫のように這い回って、別のパソコンに感染していくことから、ワームという名前がつけられたといわれています。

コンピュータウイルスのワームはファイル単体で活動可能で自己増殖する不正プログラムです。インターネットやUSBメモリーなどを通じてコンピュータに感染し、さまざまな被害をもたらします。

コンピュータ内のメールアドレスを収集し、自身のコピーを添付したメールを大量配信する等の手法で、ウイルス付きのメールを知らないうちに大量に送ってしまう被害はワームによる典型的な事例といえます。

ワームに感染した際の症状は、コンピュータの動作が極端に遅くなる、電源が切れなくなる、プログラムを勝手に起動するなど実に様々です。

トロイの木馬

トロイの木馬(Trojan horse)は、ギリシャ神話に由来しております。

トロイの町を包囲したギリシャ軍は、頑強な城壁に攻めあぐね、いったん撤退を装い、そこに巨大な木馬を残します。トロイ軍はそれを戦利品として城内にもちかえりますが、その木馬の中に実はギリシャ軍の伏兵が潜んでいました。トロイはその伏兵により城内を焼き払われ、さらに城門からなだれ込んできたギリシャ軍本隊に急襲され、1日で陥落したといわれています。

コンピュータウイルスのトロイの木馬も同様で、正体を偽ってコンピュータへ侵入し、データ消去やファイルの外部流出などを行うプログラムです。ファイル単体で動作可能ですが、自己増殖は行わないため、一見有益なソフトウェアやツールと偽って感染させるといった特徴があります。

例えば、ゲームソフトや、動画を編集するためのツールを装って、裏でコンピュータに保存されている個人情報を盗んだり、コンピュータの設定を勝手に変えてしまったりなどの症状があげられます。

利用規約にコンピュータの情報を集めてベンダに送信することを示しているソフトウェアもあり、破壊目的ではなく、情報を集めることが目的のトロイの木馬は「スパイウェア」とも呼ばれ、ウイルスと区別される場合もあります。

コンピュータウイルスに感染してしまうと…

ウイルスの感染症状は多種多様で、中にはウイルスに感染したと気づきにくい場合もあります。

コンピュータウイルスの感染症状例

  • 動作が遅くなる
  • 画面上の表示が崩れる
  • 予期しないメッセージや画像が出る
  • 覚えのないアイコンやファイルがデスクトップ等に配置される
  • ファイルやフォルダが変更・削除されている
  • 勝手にメールが送信される
  • 勝手にプログラムが起動する
  • 勝手にインターネットに接続しようとする
  • OS、ソフトが強制終了することが多くなる…etc

上記はウイルス感染症状のごく一部で、その他にも様々な症状が確認されています。

但し、その感染経路と対策は意外と限られていますので、次回の特集で、具体的な感染経路についてご紹介します。

なお、当サイトのQ&Aでもウイルス感染事例を利用シーンごとにご紹介しておりますので、あわせてご確認ください。