カメラを使ったKYCでは、1つの写真だけでの確認ではなく、複数の角度による顔の撮影を求められることがあります。
これは、顔写真が流出していた場合であっても、静止画によるなりすましが行えないようにするためです。
しかし、この本人確認方法すら、ディープフェイクを使って回避する詐欺師たちが現れました。
詐欺師たちは、KYCを回避するために、自分や知人の写真ではなく、ネット上の専門ショップで販売されている個人写真や偽造書類を使い、架空の人物(デジタルクローン)を作り上げることによって、KYCを回避しています。
AIを使った身分証明証などの偽造書類は、本物と見分けがつかないほど精巧に作り上げられるため、カメラによる本人確認も回避することが可能となりました。
デジタルクローンとして利用される人物写真などは、経済的に恵まれていない方々がターゲットにされており、彼らの写真は年齢や性別、民族などにこだわることなく、多数のパターンが用意され、偽造書類とともに販売が行われています。
作成された写真には、偽造書類をはめ込みやすいようにと、白いカードを持っているものまで準備されているようです。
店舗で直接対面しての本人確認ではなく、完全リモートでの本人確認が広がることによって、詐欺師たちがより活動しやすくなってしまったという一面があります。
デジタルクローンの写真と、AIによって作成された偽造書類があれば、その人物が存在しなくとも、銀行口座やクレジットカードを作成できるようになってしまったのです。