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特集記事

ディープフェイクを利用した詐欺師の本人確認回避手段について

さまざまな場面で必要となるKYC

KYCとは、(Know Your Customer)の略称で、オンライン上で行われる顧客の本人確認のことです。
クレジットカードの作成や金融機関の口座作成などの場面で利用されており、作成されたカードや口座を、詐欺行為やマネーロンダリング、脱税などの犯罪行為に悪用されないために行われています。
店舗で対面しての確認ではなく、完全リモートの状態で、企業が顧客の本人情報を確認するために、本人確認書類や複数の角度で撮影された顔写真・動画の提出を求められます。

AIを使ってKYCを回避する詐欺師

カメラを使ったKYCでは、1つの写真だけでの確認ではなく、複数の角度による顔の撮影を求められることがあります。
これは、顔写真が流出していた場合であっても、静止画によるなりすましが行えないようにするためです。
しかし、この本人確認方法すら、ディープフェイクを使って回避する詐欺師たちが現れました。

人がAIによって作成される

詐欺師たちは、KYCを回避するために、自分や知人の写真ではなく、ネット上の専門ショップで販売されている個人写真や偽造書類を使い、架空の人物(デジタルクローン)を作り上げることによって、KYCを回避しています。
AIを使った身分証明証などの偽造書類は、本物と見分けがつかないほど精巧に作り上げられるため、カメラによる本人確認も回避することが可能となりました。

品揃え豊富なデジタルクローンショップ

デジタルクローンとして利用される人物写真などは、経済的に恵まれていない方々がターゲットにされており、彼らの写真は年齢や性別、民族などにこだわることなく、多数のパターンが用意され、偽造書類とともに販売が行われています。
作成された写真には、偽造書類をはめ込みやすいようにと、白いカードを持っているものまで準備されているようです。

対面ではないKYCの弊害

店舗で直接対面しての本人確認ではなく、完全リモートでの本人確認が広がることによって、詐欺師たちがより活動しやすくなってしまったという一面があります。
デジタルクローンの写真と、AIによって作成された偽造書類があれば、その人物が存在しなくとも、銀行口座やクレジットカードを作成できるようになってしまったのです。

今後の問題点は

現在、顔写真や身分証明証が偽造されていますが、AIでの生成はそれだけにとどまらず、ひとの声すらも生成可能となっています。
写真や書類だけでなく、人の話し声ですら、どれが本当なのか見分けがつかない時代になりつつあるのです。

とはいえ、完全リモートでの本人確認をなくすことは現実的ではないため、企業は本人確認を回避させないために、提出される本人確認情報をより正確に検証するための技術が必要となります。
本人確認が厳格化すれば、企業側の労力と金銭がより多く必要となるため、健全な利用者にとっては利便性が低下し、快適さが失われることになる可能性があります。

最後に

AIだけでなく、さまざまな技術は日々進歩しており、これから先も同じような問題が発生していくかもしれません。
被害に巻き込まれないためには、新しい情報を知り、知識をアップデートしていく必要があります。
自分には関係ないと判断せず、さまざまな情報を得て、自身の財産を、自分自身を守れるようにしましょう。