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特集記事

リツイートの罪 ~加害者になる危険~

突然犯人として名前が広がる恐怖

2019年8月に発生した、悪質なあおり運転と暴行事件。
この時、あおり運転をした車に同乗していた女性が話題になりました。
ガラケー片手に運転手の暴力行為を撮影している姿が報道され、ネット上では彼女の個人情報が収集され、瞬く間に拡散されました。
しかし、拡散された個人情報は、この女性とは全く関係のないAさんの情報だったのです。

犯人と判断された理由とは

Aさんが「ガラケー女である」と判断された理由は、
・あおり運転を行っていた運転手が、AさんのSNSアカウントをフォローしていた
・Aさんの投稿している写真と、「ガラケー女」が身に着けているアイテムが似ていた
・サングラス等を付けた顔が、Aさんと似ている
という情報がもとになっていました。
これらの情報を見ると、どれも決定的な証拠にはなりません。
それでも、リツイートや新たな投稿、まとめサイト等によって情報は拡散され、Aさんは何も関係がないのに、ネット上で犯人として扱われるようになってしまったのです。

何故そんなことが起きるのか

なぜそんなにも情報が拡散されるかというと、簡単に情報を共有できる環境が整っているというのも理由の一つではあります。
しかし中には、「自分のもとに届いたのでとりあえず」という、特に広めようという理由もなく誰かへ情報を届けている人もいます。
また、「私はリツイートしただけであり、これは私の発言ではない」といった考え方も原因の一つではないかと思われます。

安易なリツイートの危険性

リツイートもあなたの発言の一つ

あおり運転の事件以外にも、リツイートが問題とされることが多々あります。
その一つに、誹謗中傷のツイートを【リツイートした人物】に対して、
名誉毀損による損害賠償を求める裁判が行われたことがありました。
その際、「リツイートは投稿に賛同する表現行為」として、名誉毀損の損害賠償判決が出ているのです。

その投稿は本当に正しいのだろうか?

今はリツイートによって、より簡単に得た情報を広げることができますが、
それは同時に、あなたが見せたい人々以外にも、情報を届けることになります。
リツイートしようとしている投稿は、本当に正しい情報なのか判断することがより大切になります。
また、情報の正確さ以外にも、「誰かを苦しめる原因にならないか」と考えることも必要です。

最後に

情報のあふれる現代、嬉しい情報も悲しい情報も入り乱れています。
様々な情報が手元に届いた時、「とりあえず」と軽い気持ちで広げる前に、まずはその情報について考えるようにしましょう。
誰かを傷つけたり、困らせたりするための情報は、あなたの手で止めることもできるのです。